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伝統の'1号前掛け'をオーダーで1枚からオリジナル製作

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前掛け歴史劇場~はじまり~

“前掛け”と、”日本の仕事着”です。

そのルーツは???

昔から続く粋な“マエカケ”・・・前掛け歴史劇場はじまりはじまり~♪


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前掛け歴史劇場~室町時代~

前掛けの誕生は、室町時代。

公家や武家のみならず民衆も参加し楽しむ、
能・狂言・生け花・茶の湯などが生まれたのもこの時です。

そんな日本の民族的文化が広まり、
庶民の服装もだんだんと変わり始めました。

労働着は、細袖・袖なしと呼ばれるような上衣に袴をはいたスタイルが主流でした。

それがやがて上衣の丈を長くした小袖というものを
袴なしで着るようになりました。

これが小袖着流しスタイルです。

当時は、なんと男性よりも先に女性が小袖の一枚着をはじめたそうです。
これに腰布を巻いていましたが、室町も終わりに近づくと“前掛け”に変わっていきました。

もうこの時期になると、
便利さも手伝って子どもたちは男女問わず小袖一枚着が主流になっていました。


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前掛け歴史劇場~安土・桃山時代~

さて、安土・桃山時代に入り
戦乱が終わって庶民の生活も変わりはじめました。

応仁の乱により
京都は荒廃してしまったのをきっかけに、
公家などの文化人は地方の大名を頼るようになりました。

地方の武士たちもまた、
中央の文化に憧れを持っていたので積極的に迎え入れたようです。

そして海外との貿易も相成って
各地方都市は発展していきました。

お金が生まれ、仕事があるとなると出てきたのは奉公人。

農民などの子どもは商家に奉公に出されるようになりました。
この時に、子どもたちは赤い前掛けをしていったという説もあります。
お地蔵さんが赤い前掛けをしているのもこの辺りにヒントがあるのかもしれません。

元はといえば、汚れ防止の前掛け。
単に労働着としても商売人には必要だったのだと思います。

だから、昔ながらの酒蔵やお醤油屋さんなどに
今でも前掛け文化が根付いているんですね。



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前掛け歴史劇場~帆布!?~

さぁ、話は少し変わって
前掛けの素材から歴史を探ってみましょう。

前掛けの素材は綿。
綿は織り方によって色々な布に変化していきますが、
ここで前掛けに使用しているのが“帆布”です。

英語でCANVAS(キャンバス)。
今では、前掛けよりも鞄などのほうが多くみられるようになりました。
ちなみに、LIEVI’S(リーバイス)の創業者リーバイストラウスがカルフォルニアの炭鉱で
初めて作ったジーパンも帆布(=CANVAS)です。

CANVASとは正しくは、
 「ごく太い綿糸か亜麻糸やビニロンなどの合繊糸を使って、密に平織りに織った織物。
  厚地で、強く、丈夫である。帆布、テント、日覆い、布靴、かばん、洋画布、
  手芸の基布などに使う。ホースに使うものは袋状に織る。」服飾辞典より

丈夫なこの生地は、
船の帆になったり、テントになったり、パンツになったりと
その丈夫さゆえに様々の生活のシーンで利用されていました。

日本で前掛けになったのは、
不要になった帆船の帆で前掛けを作ったからと言われています。
残念ながら明確な発祥時期は定かではないのです。

もしかしたら、漁師の奥さんが台所でしたのが
帆前掛けの第一号かもしれませんね。

大正時代には現在の前掛けに近いモノが出来たとも言われています。
当時は「まえたれ(前垂れ)」と呼ばれていたようです。



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前掛け歴史劇場~現代へ~

そして昭和に入り、
現在“帆前掛け”の主流となっている
染めのプリントや膝丈になりました。

その後、時代や流行を反映するように
丈の長さが変わったり様々の色や素材を使うようになったりしましたが、
万人の生活必需品ではなくなったため世に出回らなくなりました。

では、どんな所で前掛けは生き延びてきたのでしょう。

それは、商売人のもとで生きていました。

ある前掛けは、米屋で代々受け継がれ。
ある前掛けは、酒蔵のお年賀で配られ。
ある前掛けは、古着屋で売られ・・・今に至ります。

商売と前掛け、これは切っても切り離せない関係です。
自分達の仕事への意気込みを、この前掛けという限られたスペースで最大限に表現する!
広告宣伝の役割も兼ねている訳です。

もちろん実用的にも重宝されています。
まずは、お米屋さんや運送屋さんなど、重たい物を持ち運びする方々にとっては、
腰骨の下あたりにグイっと締める前掛けは、「腰痛防止」の効果があると言われて
います。

もう一つは、「肩掛け」です。前掛けをヒョイッと、たくし上げ、片方の肩にかけて
荷物を肩に乗せるのです。特に、材木屋さんや、木箱に入ったお酒を運んでいた酒屋
さんなどでは、そのまま木材を肩に乗せると、着ている服が破れてしまうため、
そのように肩掛けとして利用されていたそうです。

現在では、
昔ながらの技術で、ホンモノの前掛けを作る職人さんも、高齢で廃業されるなど、も
少なくなりました。
1970年代ごろから、ライフスタイル、商売のスタイルの変化に伴い、
利用する人が減ったのが理由だと言われています。

しかし、ここ数年、若い人たちの間で、日本文化に再度注目する傾向なども
あり、ホンモノの前掛けをして仕事をしたいという方々が増えているようです。

帆前掛けは、日本の職人技の塊です。
綿花産業、織りの技術、染めの技術、縫製の技術etc
世界の素材や手法を上手に取り込んできた先人達の知恵が詰まっています。
それを愛し、使ってきた商人魂が室町時代から現代へ“前掛け”を伝えてくれました。

「職人あきんど前掛け」

これを締めて一仕事しませんか?

参考文献 参考サイト

 「詳説 日本史」
発行所:㈱山川出版社 著者:笹原一男・児玉幸多・笹山晴生(ほか11名)

「服飾美学」
発行所:日本女子大学通信教育事務部教材課 著者:佐々井啓

「衣服学」
発行所:㈱朝倉書店 著者:島崎恒蔵・佐々井啓