はりまや橋まで戻るため、僕は坂本龍馬さんの銅像に大接近した後、バス停に向かった。
時間は20分以上はあっただろう。

一人近くのベンチに座っていると、タクシードライバーの方が僕に話しかけてきた。
「はりまや橋のほうへ戻るんですか？」
それに答えて、僕と運転手さんは少しの間会話をした。
自分の高知に対する印象や何かを話したように思う。

特に強調したのは高知ののんびりと落ち着いた雰囲気のことである。
街行く人々の表情にはゆとりがありそうな気がしたし、東京と違って道も混雑していない。
桂浜から見る海の景色は、どこまでも世界が広がっていくような気分にしてくれる。

そんなことを話しているうちに
「バスの料金ではりまや橋まで行っちゃいましょう。」
とタクシードライバーさんに言われ、「！？」と、とまどいながらも僕はタクシーに乗った。
その方は西山さんといい、生まれも育ちも高知で、自分の住んでいるところを本当に
気に入っているように感じた。

桂浜からはりまや橋までは30分くらいなのだが、あっという間に到着してしまった。
とても明るい方で、今までに西山さんご自身が乗せたお客さんのことを僕に話してくれた。

過去に、その当時僕と同じくらいの年齢の男性の方が四国八十八ヶ所を西山さんのタク
シーで回ったらしい。
きっかけはタクシーに乗車中、その男性がぽつりと西山さんに自分の悩みを話したことから
だという。
そのことがあってから、タクシードライバー兼ガイドみたいなことを始めて、仕事のないときは
自分で高知の観光名所を回って、調べているらしい。
ファイルには西山さんのタクシーに乗ったお客さんから、お礼のはがきがいくつもあった。
運転席に置いて、とても大事にしていた。

そういった話をしている西山さんはとても生き生きとしていた。
僕のほうが断然若いけれど、西山さんの気持ち、情熱は肉体の若さを超えていたように思う。
それに、とても楽しそうにドライバーをしているように見えた。
一つ一つの出会いをとても大事にしている。
「これも何かのご縁だと思うので。」と、西山さんは僕に話した。

見知らぬ土地に一人で赴き、親切にしてもらえるなんて、ありがたいことだ。
西山さん、高知に行くときには連絡します。

どうもありがとうございました！

西山さんと、はりまや橋付近にて

投稿記者 anything : 2005年10月24日 18:38

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